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zoom RSS 言語の冗長性は自然かつ必要

<<   作成日時 : 2007/05/24 02:24   >>

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はねもねさんが「ヘンテコリンな日本語は?」という記事で読売新聞の新日本語取材班が読売新聞の夕刊に掲載していたものをまとめた「乱れているか?テレビの言葉」という本の中にあって、よくないとされている重複表現の例として以下のものを挙げています。

1.頭をうなだれる
2.事件はいまだ未解決
3.後ろから羽交い締めにする
4.被害を被る
5.楽観視している

しかし、これらについて、
「正しい日本語を使おう」と主張する人達って、こういう境界をどうするつもりなんでしょうか?「犯罪を犯す」というのもダメってことにするのでしょうか?それとも、今では一般的になったのでOKってことにするのでしょうか?
と疑問を投げかけています。

ラトガース大学の名誉教授(言語学、教育学)、スティーブン・ダリアン(Steven Darian)が生教材(authentic materials)を言語教育に使うことについてここ(Adapting Authentic Materials for Language Teaching)で書いていたのですが、そこに

Redundancy
冗長性は言語に欠かせないものだ。冗長性を「一度以上出てくる情報」と定義したら、言語教材での冗長性の重要さがすぐに理解できるだろう。(筆者注なんてったって繰り返しは、学習の一つの基本ですからね。それで十分ではないにしろ。

Redundancy is an integral part of language. If we define redundancy as information that is made available more than one time or in more than one place, you can immediately understand the importance of redundancy in language teaching materials.

それでは、どこに、どうやって冗長性を持たせるべきかということになるとどうだろうか。まずどうやってするかについて考えてみよう。三つの方法が考えられる:(1)例を示す(2)絵など視覚的に見せる(3)同じことを言い直したり、言い換えたりする。

どこに冗長性を加えるかについては二つの状況が考えられる:(1)重要な言葉や概念を説明するとき、(2)理解しにくい言葉や概念を説明するとき。直前の二つの文の中に冗長性があることに気が付いただろうか。(筆者注まず「どうやって」と「どこに」の二つについて説明すると言ってから初めに「どうやって」を説明していることや、「言い直し(restatement)」と「言い換え(paraphrase)は無理矢理訳語を変えましたが、ほぼ同じことを言っています。」)

The question then becomes: Where should I add redundancy and how? Let’s examine the how first. Here are three useful ways of adding redundancy to the text: (1) examples, (2) visuals, and (3) restatement or paraphrase.

As for the where, I suggest adding redundancy in two situations: (1) for important words and concepts, and (2) for difficult words and concepts. Did you notice the redundancy in the previous two sentences?


このように談話の中での繰り返し的なものもありますが、もっと短く単文でも三人称単数のs
(「He runs 2 miles every morning.(彼は毎朝2マイル走る)」のrunsのsですね。)だって必要ないといえば必要ないですよね。Heって言っているんだから、三人称単数ってわかっているわけです。

He ate pizza yesterday.(彼は昨日ピザを食べた)のateだってeatのままで活用しなくたってyesterdayがあるんだから過去ってことはわかりますよね。でもそれは冗長だから活用しなくていいということにはなっていない。あ、でも中国語なんかではその「きのう」とか副詞で過去であることを示すんですよね?

それから、音声のことを考えると100%発音されたものが届かないこともありますよね。例えば通話状態の携帯電話での会話や、騒音が大きい場所での会話で、あるいは聞き手が注意を払っていなくて一部を聞き落とすことがある。そんなときでも修復可能なのは言語に冗長性があって、伝わらなかった部分を聞き手が補ったりしているからじゃないかと思うわけです。

もちろん程度問題であまりに繰り返しが多かったりして冗長性が高すぎても弊害があるでしょうが、少しはあるのは「自然」で「必要」なことなんじゃないかと思うわけです。

いわゆる規範的(prescriptive)に日本語を考える人にとっては「被害を被る」などフレーズの冗長性は指摘しやすいし、確かにそれもありすぎれば理解を阻むものかもしれません。しかし、ある程度の冗長性はあってもいいし、許容されるべきなんじゃないでしょうか。あ、これも「少し上の文と内容的にダブっているから冗長だ」と文句言われちゃうかな。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
ヒロシさん、お久しぶりです〜。
冗長性がある言い方で「頭痛が痛い」というものは「しつこい」と分かっていて、ふざけてわざと使ったりしますが、記事中に例にあがっているものは言われなけれが「繰り返し」だって気がつかなかったです。もう慣れちゃってました。英語を話すとき、繰り返しがあることで、しどろもどろで間違えても何度かチャンスがあるということはありがたいと思います(*^▽^*)。
スー
2007/05/24 09:09
「後で後悔するよ」というのもありますね。
「後悔は後でするに決まってる」と言われそうですが(笑)。
みーこ
2007/05/24 10:09
「馬から落ちて落馬しました」っていうやつですね。よく見かける誤用ですが、強調表現だと考えれば大目に見ていいと思います。

それより、「千円でよろしかったですか?」という<コンビニ日本語>が僕は大嫌い。「千円お預かりします」と何故言えないのか?

「よろしかったですか?」を聞く度にムカムカします。
asianimprov
2007/05/26 01:11
はじめまして。記事の紹介、ありがとうございます。

冗長性、冗長化という言葉はコンピューター用語としてしか使った事がないので、言語の話しに出てきたことにちょっと面食らいました。確かに英語などには冗長性がありますね。発音が聞き取りにくくて、聞き違いを防ぐために冗長性が役立っていると思います。

記事を拝見して一つ思ったのは、アルファベットは表音文字であるのに対して、漢字は表意文字であるため、冗長が英語などよりもくどく感じられるのだろうということです。単なる音ではなく文字としてみた場合に、英語などと違って単語と単語の間にスペースを空けないという約束事も相まって、短い範囲に同じ意味の文字が出てくるのを美しくないと感じて、重複表現を嫌うようになったのではないかな?と思いました。

文語体と口語体の一致が始まったのは明治時代で、定着したのが戦後ですから、これからますます文語と口語の一致は進むでしょう。変化の方は口語の方が早く進みますから、そういう流れの中で重複表現を嫌う風潮は少なくなっていくように思います。あまり厳密な意味でのルールは減っていくように感じています。
はねもね
URL
2007/05/26 01:56
>スーさん
「頭痛が痛い」ってのもありましたね。英語でいえば、sing a songってのもある意味「しつこい」ですね。あとは、「dream a dream」とか。そっちのは「I had a dream」とhaveと一緒に使うほうが多いかもしれないですが。
ヒロシ
2007/05/27 15:38
みーこさん、
「後で後悔するよ」ってそういえば、よく聞きますねぇ。たしかに後に決まってますよね。順序のことでいえば、「もう〜した」「まだ〜てない」ってのは両方とも決まっていることを言ってますよね。
ヒロシ
2007/05/27 15:43
asianimprovさん
「馬から落ちて落馬しました」は「馬から落馬しました」と重複の度合いを低くするともう少しましでしょうか。「千円からお預かりします」ってのもありますね。「〜でよろしかったですか」はもともと北海道の方言だったのが全国に広まったとも聞きましたが、過去形にして距離を置くというのは、よくあることですが、時として逆効果もあるという例ですかね。
ヒロシ
2007/05/27 21:57
>はねもねさん
>冗長性、冗長化という言葉はコンピューター用語としてしか使った事がない
私は逆に、redundancyって日本語でなんだっけと思って調べたら、「重複」と「冗長」が出てきてなんとなく選んだんですが、コンピューター用語としてはこちらのほうが浸透しているんですね。・表記の問題は確かに大きいですね。「被害を被る」と書いてあるのを読んだら、「被」の字を二回見るけど、「ひがいをこうむる」と耳で聞くだけなら、音としては重なってないから気にならないかもしれませんもんね。
ヒロシ
2007/05/27 22:08

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