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zoom RSS ことば以外に外国語学習に必要なものとしての一般常識

<<   作成日時 : 2006/01/02 15:43   >>

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日本語を教えるためには、日本語の文法をはじめ、日本の習慣、文化などに関する知識が必要なのは言うまでもありませんが、それに加えて必要だと思うのは学習者の持っている「常識」を共有することだと思います。

なぜかというと、例文を作ったりするのに必要なんです。
たとえば、「ています」を教えるとします。
もっとも典型的な意味としては動作の継続、「今している(action in progress)」意味です。

これは簡単です。
絵を見せて、
 コーヒーを飲んでいます。ピザを食べています。
 本を読んでいます。歩いています。話しています。
と示せば、学習者は「あ、−ingと(だいたい)同じことだな」とわかります。

もうひとつの使い方、何かの動作の結果が継続(resultant state)するという意味の場合、たとえば「結婚しています」というのは「結婚する」という行為を継続しているのではありません。
そんなことはできませんね、普通。わんこそばならぬわんこ結婚式をすれば別ですが、重婚は禁止されているので続けてはできません。そんな理由だけじゃないですけど。。。

ともかくその「結婚しています」というのは「結婚する」という行為を行って、その結果、結婚したという状態になるのですが、それが続いているという意味です。
これを口で説明してもいいです。それでわかる人もいるでしょうが、具体的にどういうことか例で示したほうがわかりやすいと思います。

「トムクルーズとケイティーホームズは結婚しました。結婚しています。」
といえば、私の学生などの一般の米国の大学生はほぼ間違いなく知っているはずです。
秋学期に教えたときには、「トムクルーズはソノグラム(エコーの機械)を買いました。」など学生から反応がありました。

さらに「ています」の過去形の導入には「ブラッドピットとジェニファーアニストンは結婚しました。結婚していました。でも今は結婚していません。」というのが使えます。
「ブラッドピットはアンジェリーナジョリーとよく一緒にいますね。結婚していますか。(学生:いいえ)結婚しますか(学生:はい、いいえ等)」と発展させることもできます。

このように学生が既に知っている知識を使うので、既存の知識に新たな意味づけを行って知識体系を構築して行くという構成主義の考えにのっとった実践とも言えるかもしれません。いずれにしろ、「太郎さんが花子さんと結婚しました。太郎さんと花子さんは結婚しています」と架空の名前で教えるより、より印象が強く残ります。そしてその分記憶に残って定着しやすいんじゃないかなと希望的観測を抱いています。

ここで注意が必要なのは、有名な人・モノだから当然知っているはずと思っても全員が知らないこともあることです。私のクラスの話ではありませんが、ある先生のクラスでビールのバドワイザーを知らない学生がいてびっくりしたという話を聞きました。その学生は外国からの留学生で宗教上の理由でお酒を飲まないまじめな大学院生だったのですが。

しかし、それはそれでいいと思います。知らないものがあることがわかって伝えようと思った瞬間に、それは本当の(genuine)コミュニケーションになるからです。質問のための質問(display question)よりも本当にわからなくて聞いているほうがより学習者の発話を促すという研究をどこかで読んだような気がしますし。

しかし、教師としてより学習者の知っていることを共有しているほうが具体例としていろいろ使える「コマ」を増やすことになるので、できるだけ彼らの「常識」についても知るようにしています。また教室外で雑談をするときに、彼らと話が「通じる」ようになるためにも彼らの「常識」は役に立ちます。

その学習方法ですが、ひとつは、毎日できるだけ新聞を読んでニュースをチェックすること。ニューヨークは無料で配布される新聞が二つあるのですが、両方読むようにしています。週末はニューヨークタイムズを取ってちらちら眺めています。

それから学期中は毎日発行される大学の新聞を読むこと。学内のニュースが書いてあります。どこの寮でこんな事件があったとかそんなことを知ってものすごく役に立つということはないかもしれないけど、半分ニュースジャンキーなので参考程度に読んでいます。

後はアメリカ史について関心を持つようにしています。ひとつはアメリカの学校に通うであろう娘にいつか聞かれたときに少しは答えられないといけないからですが、純粋に自分の住んでいるところの歴史に興味があるということもあります。

というわけで学んだだけ返ってくるわけではありませんが、日々ぼちぼち学習者の「常識」探りをしています。

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映画を見てアメリカ史のお勉強:グローリー(1989) その1
米国史上、国の最大の危機とも言える南北戦争(1861-1865)。 工業化の進む北と、綿花などのプランテーション産業が盛んで奴隷制度への依存度の高かった南の間の戦争だったようです。リンカーンの有名な「人民の人民による人民のための政治」というフレーズが使われたスピーチは1863年ペンシルバニア州ゲティスバーグで南北戦争の戦いとして最大の犠牲者を出した戦いの後でのことでした。 ...続きを見る
もっと学ぼうニッポン:ブログ時代の日本語...
2006/01/04 15:01
プロフィール。
リンク貼りました。良かったらリンクお願いします。 日本語教師になったきっかけってなんですか? ...続きを見る
日本語教師@ブログ
2006/01/07 20:22

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ほんと、その通りですね。「太郎と花子は結婚しています」よりも、知っている人物の方が共感できるし、記憶にも残りますね。海外に行って教えようと思ったら、初めは情報収集が大変かもしれませんけど、面白そうです。ところで、大学内の新聞が毎日発行されるなんて、本格的なんですねえ。
おい
URL
2006/01/02 22:39
>おいさん
外国語の教室の外では、アメリカ人である学生のほうがこの国については専門家というかよく知っている(はず)だし、アジアの国などからの留学生の学生の場合、外国人としてアメリカにいる同じような立場なのでお互いに教えあって助け合うというかそんなことにつながるかなと思います。大学にはジャーナリズムの学部があることもあってなんというか盛んなんですよね。1877年創刊で全米の大学新聞で二番目に古く発行部数は1万部だそうです。
ヒロシ
2006/01/03 00:24

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