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zoom RSS 救え、夫婦の会話: 「ガラス戸越しのラブコール」から考える

<<   作成日時 : 2005/10/31 20:57   >>

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最近日本語の3年生のクラスで読んだ文章は、結婚13年目の夫婦の会話のなさについてのものでした。はっきり言って大学生には分かりにくかったです。

これはたまたま使っている教科書に出ていたもので、私は今年からこのコースを教えているので私も初めて読んだ作品でした。かつてNTTが一般公募でエッセイを集めて賞を出す「ハロートーク大賞」というので大賞になったものでした。

作品の名は「ガラス戸越しのラブコール」です。97年のものです。
教科書に掲載されたものは若干変更が加えられていますが、原文はこちらにあります。

要約すると、以下の通りです。
筆者は結婚13年目の妻、Kさん。
お子さんが二人はいるご家庭。
夫が5ヶ月前に仕事のために携帯電話を購入したものの、予想したほどはかかって来なかったため、 「つまらないから君も電話しろよ」
「あら、あなたがすればいいじゃない」
ということで、土曜日の午後11時、子供達が寝てしまってから、週1回夫がベランダに出て、携帯電話から近距離電話をかけることになった。

初めはままごとみたいだとバカにしていたKさんは、次第にこの時間を楽しみにするようになり、今では毎週ドキドキしながら近距離電話を待つほど、今ではKさんにとって、なぜかいつも新鮮でかけがえのないものになった。

会話の内容としては、
「芽、でたね。こないだまいたやつ。あの花何ていう名前だっけ……」
「今日の夕日、やっぱり見てた?すごかったわね、あの色。明日も晴れね、きっと」
「昨日、本屋でおもしろい本見つけたよ。読み終わったら回すから感想聞かせろよ」
という具合で、「そんなとりとめもない(でも、日常ではなぜかできない)会話」を5分だけする。
この5分間には日常のすべてを忘れて、2人がお互いのことだけを考えて語り合えると感じている。

体の向きを変えれば、ガラス戸ごしに電話中の主人の姿が見えるはずでも見ないようにして話す。

結婚をして13年。共働きの忙しさも手伝って、いつ頃からかお互い自分本位でしかものが考えられず、また微妙な心のズレをどこかで感じながら、それをあたり前のこととあきらめて生活していたと感じられるようになった。

「外、寒いでしょ。かぜひいちゃダメよ」
なんて、顔を見ていたらなかなか言えないことが自然に言えたりするので、電話というのは不思議なものだ。
私はこれを読んで、そんなに結婚13年目にもなると夫婦の会話はすさむのかということを考えさせられました。心のズレを感じながら、当たり前と思うようになるのか。わざわざ携帯電話と電話で話すという「非日常」を作らないとできないようなことなのか。だとすれば、今から何か対策を打っておくべきか。

ブログのお友達の
スーさん
「ダンナがボソっと」という記事で、久し振りにご夫婦だけで食事をしたものの、お子さんがいないと話題がないことに気づいたとのこと。やはりこんなことはあるものらしいです。
だからこそ、共感を生んで(なおかつNTTの携帯電話のイメージアップか何かの思惑にはまって)ハロートークの大賞をとったに違いないのですね。

一方、「これは97年という微妙な時期ならではの話かな」と思いました。というのも携帯電話の普及率を見ると、97年3月末の世帯別普及率は46.0%(内閣府消費動向調査)と前年の24.9%よりも21.1ポイントと急激に増えた年ではあるものの、90%を超えている現状からすればかなり低い数字です。

今ではきっとかかって来なくてつまらないから電話してというほど少ないことはないはずだろうと思います。それに97年にはメールも、インターネットも、できなくてまったく電話としてしか使えないものだったことも関係あるのではないかと思われます。

さて、日本語の学生に教えていて困ったのは、大学生・大学院生(下は18歳から二十台中心、最年長は40代かな)はひとりを除いて結婚した経験もないし、しかも日本の「冷めた夫婦関係」みたいなものにいまいちなじみが薄い。

さらに日本と違って、「冷めても子供の為に結婚し続ける」というよりもそうでない考え方もある(実際そのせいで、両親が別々の道を歩んでいる人もいるようです)ので心にズレがあって、普通の会話でできないのにどうして別れないのかと思ってしまう。

「芽、でたね。こないだまいたやつ。あの花何ていう名前だっけ……」
「今日の夕日、やっぱり見てた?すごかったわね、あの色。明日も晴れね、きっと」
「昨日、本屋でおもしろい本見つけたよ。読み終わったら回すから感想聞かせろよ」
という会話が日常的にできないということが理解できない。

「外、寒いでしょ。かぜひいちゃダメよ」
ということを顔を見てたら言えないということが理解できない。

書いてあることからだけから理解して内容質問などの問題に答えることはできるものの、それ以上深くは問えない。

というかそもそも、教えているこっちも「それほど実感を持ってわかってるわけじゃないんだけどね。そのうちそうなるのかと思ったら今から何かしないといけないのかなぁ」とも言えません。

今から10年後、心にズレを感じているだろうか。そうでないと信じたいです。
夫婦の会話があるだろうか。あると思いたいです。

最後にガラス戸越しのラブコールのKさんにメッセージ(唐突ですが)

Kさん、
お元気ですか。今年でもう結婚20年以上ですね。今も近距離電話してますか。
お子さんも少しは手を離れてきたりして、夫婦の会話に何か変化がありましたでしょうか。
どこかでブログでもして続きを書いていらっしゃるんじゃないかと願ってます。
そしたらまた読ませていただきたいです。

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
あら?私もこれをどこかで読んだことがあります。んー、日本語ジャーナルか何かだったか・・・???
私は13年どころか、結婚したことすらありませんけど、このストーリーはいいなあと思いました。でも大学生にはわかりにくいのでしょうか。
>「冷めても子供の為に結婚し続ける」というよりもそうでない考え方もある
そうですかー。だとしたら分かりにくいんですかねえ。
おい
2005/10/31 21:15
うちも結婚して13年ですが、この文章のような状況にはなっていません。だから実感としてはわからないけど、でも「そういうこともあるんだろうなあ」とは感じられますね。

しかし、日本人ではなく、まだ結婚してもいない学生には確かに難しそうに思います。「文章から心情を読み取る」ということが、どこの国でも重視されているわけではないでしょうしね。

ビアンカ
2005/10/31 22:22
トラバありがとうございます。
うちは結婚10年になりますがこのKさん宅のような状況にはなっていません(汗)
これはNTTからみていいお話かもしれませんが一般的ではないのでは。
確かに共働きだとお互いに疲れちゃうし昼間たくさん別な人とおしゃべりするでしょうから夫婦の会話も事務的なものになりがちかもしれません。
私のところへいただいたコメントを見ても、「会話がなくても安心していられる」のが馴れ合い夫婦のいいところということでいかがでしょうか?アメリカの生徒さんには「日本の夫婦には”ツーカーの仲”っていうものがある」とお伝えください。
スー
2005/11/01 00:23
>おいさん
私は結婚3年目ですが、ちょっとあんまり想像つかないんですよねぇ。電話して楽しんでいるのはいいと思いましたけど。いつまでこの近距離電話を続ければいいんでしょうって話になって、10メートル離れているのを少しずつ近づいて行くという冗談のようなセラピーを言っているひともいましたけど。。。そうなんですよね、これも私にはあまりよくわらかんのですが、日本ほど「子はかすがい」でもないらしいのですが、逆に学生からアメリカの結婚・離婚事情について学ぶところが多かったりして。そういえば、結婚バトンしてましたね。結婚したい年齢ていうのが現在のより若いのにつっこんでいいものやら分かりませんでした。
ヒロシ
2005/11/01 01:26
>ビアンカさん、
奇しくも13年目なのですね。「文章から心情を読み取る」ことになっているわけではないんですが、この課のテーマがコミュニケーションなので、それにあわせた読みなんだと思います。ただ、この教科書を作ったベテラン(と思われる)日本語教師の方々が、その世代ゆえに共感を覚えて選んだのかなと思っています。
ヒロシ
2005/11/01 01:44
>スーさん
Kさん宅が一般的でないというのは近距離電話をしていることですよね。会話がないってのはよくあることで、それでも安心していられるかどうかってことでしょうか。誰かが書いていたコメントに昼間話しすぎるから帰って来て誰からも話しかけられたくないとかいう人がいましたけど、私もいんちきサラリーマン時代はそんなときもありました。なんでも過ぎるとストレスになるってことですけど。
ヒロシ
2005/11/01 02:04
ケータイ文化のつぎはブログ文化ということで
夫婦が背中を向けてお互い別々のパソコンに向かって
ブログで意見交換して終わり、ってなるかもしれませんねー。
こわこわ(;^_^ A
スー
2005/11/02 00:32
>スーさん
そうですね。ありえますね。「あのー、例の件、トラバしといたから」とかって会話で終わってしまうとか。それなら、せめてチャットのほうが会話にちかいからいいかな。
ヒロシ
2005/11/02 04:26
あ!そう言えば、ご夫婦で別々にブログを運営している方がいらして、その記事に不思議な符合があったんですよ。「ひょっとして○○さん…同じブログサイトにダンナ様いらっしゃる?」って聞いてみたら大正解。ってことがありましたですよ。ただ、互いにコメントしたりトラバしたりはしてらっしゃらないですが。
シーラカンス
2005/11/03 22:29
>シーラさん
ブログが話のネタになって夫婦の会話があればそれでもいいと思いますね。お互い違うブログを読んでいたりするだろうし。。。
ヒロシ
2005/11/05 00:03

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