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zoom RSS 日系人のルームメイト その3

<<   作成日時 : 2005/07/23 11:35   >>

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これはその1その2の続き。

ルームメイトのクリスのお父さんがやってきたのはサンクスギビングだった。
サンクスギビングは日本語で感謝祭と言って「祭」の字が、使われているが
「お祭り」というのとはちょっと違う。

お祭りというと意図的に非日常をつくりだし、ストレス解消などのために
普段しないことをして「盛り上がる」イメージがある。

サンクスギビングは、もっと静かに、家族で集まり
普段当たり前に思っていること、
家族がいて、食べ物があって、生かされている自分を見つめなおし
神さまありがとうと思うウチ的な機会だ。

さて、そんな11月の第4木曜日、クリスのお父さんに紹介されたわけだが
(お、そういえば「This is my dad, Paul」とファーストネームで紹介されました
 日本語教師は三匹の子ブタのうーさんがでアメリカ人に自分の両親を
ファーストネームで呼び捨てにされたという話をしていました。)
娘に男のルームメイトがいることに反対していると聞いて予想していたよりも
ずっと温和で、おだやかなおじいちゃんであった。

そして、飲み物は「ペプシ」だったわけだが、それはともかく
彼も戦時中、ほかの日系人同様、もっていく荷物は一つだけ許されて
強制収容所に連れて行かれた話を少しだけしてくれた。

強制収容所については、likeachildさんの日系人の歴史のこのページに詳しい。
(なおこのサイトはasianimprovさんから教えて頂きました)

基本的には、西海岸に住んでいた日系人が、日系だという理由だけで
アメリカ生まれのアメリカ人でもいっせいに、荒れ果てた不毛の地に連れて行かれたのである。

(なお、1982年、戦時中の日系人の拘束は憲法違反であったという判断が下り
レーガン大統領が公式に日系人に謝罪し、1988年賠償金が支払われています。)

(強制収容所を話題にした映画といえば、デニスクェイド、タムリントミタの
Come see the paradise(1991年)があります。

アメリカAmazonのサイトを見ると、評価は高めなのにDVDが出ていません。
やはり、マーケットが小さいから(米国の日系は約90万人、全米人口の0.4%程度)か、
アメリカ史上の恥でわざわざ見たくないからでしょうか。)

(それから有名な写真家のアンセルアダムズという人がマンザナーの収容所の写真を
たくさん撮っています。このドキュメンタリーをテレビでやったのを
知り合いからコピーしてもらいったことがあります。)

さて、お父さんはどんな苦労や困難があったかはあまり
話してくれなかった。

というか辛かった経験について、本人が話したくないかも
知れないし、それを乗り越えたサバイバーとしての彼に敬意を抱いたし、
恐れ多くてこちらからあまり質問したくなかった。

しかし、収容所生活が終戦を迎えた年に15歳であった彼の少年時代に
多大な影響があったことは推察できた。

彼はアメリカ生まれだが、親は(たしか)1世で日本語を話したし、
それに自分も日本ですこし学校に行ったので
日本語が話せた。(私とはほとんど話さなかったが)

それで、戦後軍人となって、GHQのために働きに日本へ戻ったそうである。
その後、アメリカに戻り、まじめに勉強し歯科医になった。
苦労しても逆境に耐え、這い上がって来た彼の努力は
ある意味「昔の」日本人のひたむきな生き方を反映しているように思えてならない。
(いや、それは移民の生き方なのかも、とすればそれこそアメリカ的でもある)

それを見習ってか、クリスは伝染病の研究者となり、アメリカ連邦政府の研究所で
日々地道に伝染病と戦っている。

日系人は、時々日本人以上に日本的な部分があることがある。
(asianimprovさんも日系アメリカ人に残る日本人(性)について書いています。)

クリスはあるとき、こんな話をしてくれた。
大晦日(New Year's Eve)が嫌いだったというのだ。
アメリカではNew Year's Eveといえば、「恋人達の予感」(1989)の最後のほうので出てきたシーンのように、
12時までパーティーして、12時になったらキスして、大騒ぎしたあと
Auld Lang Syne(スコットランド民謡) を歌ってしめるというパターンがある。

もしかしたら日本でもそうかもしれないが、特にティーンエイジャーにとっては
大晦日は一年で唯一夜遅くまで(一晩中?)出かけることが許される日
という家庭もある。

ところが、クリスは両親に「大晦日は家族で過ごすものだから、
でかけてはいけない」と言われて、友達はみんな楽しそうに
盛り上がっているのに、自分だけは家にいなくてはいけなかった。
それで、大晦日が嫌いだったのだ。

それから、クリスのおじいさんの言っていたこと。
「日曜日は教会に行きなさい。仏教でもキリストきょうでもいいから、教会に行きなさい。」
ニューヨークにも仏教寺院があるが、西海岸にいくら日系人が多かったとは言え
クリスの故郷のワイオミングの田舎には、なかったかも知れない。

「仏教でもキリスト教でも」というのは、乱暴な気もするが
日本の独特の(それとも仏教の?)宗教に対する寛容さを表しているともいえる。

教会は田舎に行けば行くほど、地域社会の重要な一部だから、
地域社会に溶け込むためには入らなくてはいけないともいえる。

また、日々の生活に追われるだけでなく、週に一度は自分自身を振り返り
まじめに生きろよという1世のおじいさんの精神的豊かさからの
メッセージが感じられるいい話だと思った。



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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
映画"Come See The Paradise"がいまだにDVD化されていないのは映画を所有しているのがFOXだからだ、という怒りの読者レビューがアマゾンにありましたが(笑)案外、当たっているかもしれませんね。FOXはブッシュ擁護のメディアですから。

なお、日系人の戦時強制収容を描いた<世界的に配給されたメジャーな映画>はこのCome see...と「ヒマラヤ杉に降る雪」の二本ですが、面白いことに、前者の監督は英国人のアラン・パーカー(寡作だが好きな監督です)だし、後者は確かオーストラリア人の監督でした。アメリカ合衆国で起こった出来事なのに、外国人にしか撮れないってところが・・どうも・・なぁ。それだけ難しいテーマなのでしょうが。(苦笑)
asianimprov
2005/07/23 12:20
FOXはブッシュ派とは、知りませんでした。結構アホな番組やっているので、、あ、でもそこがつながっているのかな?映画2本とも外国人監督というのは面白いですね。戦争が入ってきてもPatriaticな映画ではないからでしょうかねぇ。
ヒロシ
2005/07/23 12:51
FOX NEWSはイラク戦争の時も米軍に都合のよい報道ばかりしていたそうです。湾岸戦争の時はCNNが活躍しましたが、CNNのあの名物記者も問題を起こして辞めちゃったらしい。FOX NEWSの女性キャスターのミシェル・マルキンが書いた「日系アメリカ人を強制収容したのは正しかった」という本がありますが、あれがFOXの本質でしょう。フィリピン系のマルキン女史は、もし米国でフィリピン人がテロでもした時には、自分からすすんで「私を収容してください」ってFBIに自首(自首じゃないけど)するのでしょうかね。
asianimprov
2005/07/23 21:15
「大晦日」の話は私たちニホンジンにはジーンときますね。そういう日常生活の中にある文化とか生活様式こそ大切なんだと思います。
ところで、ワイオミング州なんですね。渡米していきなりワイオミングへ行った一世はほとんどいなかったでしょう。もしかしたらクリスさんのご家族はワイオミング州に建てられた「ハートマウンテン収容所」の経験者で、収容所を出た後、そのままワイオミング州内に住みついたのかもしれない・・などという勝手な空想をしてしまいました。
なお、ハートマウンテン収容所は、「強制収容は合衆国憲法に違反する」と主張し、当時の政府とJACLに断固反対を貫いた"Heart Mountain Fairplay Comittee"という組織がありました。
先ほどインターネットで検索したら、現運輸長官(?)のノーマン・ミネタ氏(上院議員でしたね)もハートマウンテン収容所に居たそうです。ブッシュ大統領が敢えて民主党のミネタ氏を任命したのは、日系やアジア系社会へのある種の「配慮」なんでしょうか?
このへんの政治的なことは僕にはわかりません。
asianimprov
2005/07/23 21:55
>asianimprovさん、いろいろと勉強になります。Malkinという人の本、カバーに9/11のリーダー格だった人物と日系人らしき人物の顔写真を並べて、かなり大胆というか挑戦的な表紙になっていますね。ハートマウンテンに入っていたかどうかは、ちょっと分からないのですが、ありえますね。ミネタ氏はクリントンの時から運輸長官だったと思いますが、据え置きにしたのは、んんー、私もその辺の政治的なことはわかりません。そういえば、クリスは途中からJACLのローカルの役員になって、日系の若者を政治の世界に増やそうというプログラムでワシントンに行って、ミネタ氏にも会ったと言っていました。
ヒロシ
2005/07/25 03:24

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