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zoom RSS はじめに 日本語教師一人舞台の限界

  作成日時 : 2005/06/17 12:19   >>

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初めまして、田中ヒロシです。仮名です。

アメリカで日本語を教えて5年ぐらいたちます。

教えているのは、いわゆる初級から中級のクラスです。
ひらがなカタカナから始まって、日本語の文法が中心ですが、日本の文化についても教えなくてはいけません。

文化と言っても、ひとことでは何が文化か説明できませんが、

例えば、「日本では初めて会った人と握手することはまずない。
普通、軽く頭を下げてあいさつする。」というようなことです。

よくこれで困ることがあります。

そのうちの一つは、「人によって違う。状況によって違う」ことの場合です。
簡単に一つの答えにすることができないからです。

例として、「日本で人の家に行って、てみやげを渡すこと」を考えてみましょう。

 実は、約束のとり方や家への入り方などてみやげを渡す前に考えなくてはいけないことはたくさんありますし、家の中に入って「いつ渡すか」「どこで渡すか」という問題もありますが、ここではとりありず考えないことにします。

さて、渡すときに「つまらないものですが」っていうことばを使うでしょうか。

日本語の教科書では、決まり文句として使われていることが多く、実際その教科書を使っていれば、そう教えられていることが多いと思います。

しかも決まり文句であるからこそ、学習者はこの状況では必ず使うように言われて、テストでもそれを書かせられてしまうのです。

しかし、手土産を渡すときはいつもそれしか言わないわけではありません。
渡す相手との関係や状況によって、他の言い方をすることが考えられます。

実際、清ルミという先生の調査(清(2003))によると、日本人はいつも「つまらないもの」ばかり言っていないそうです。

じゃあ、「つまらないものですが」は教えないほうがいいのでしょうか。

いや、そういうこともないでしょう。自分が使わなくても、聞くことがあるかもしれないし、典型的に「日本的」と思われる謙遜の考え方が現れているからです。

また、日本語を学習した外国人が使うとインパクトがあって、言われた日本人は「お、この人はなかなか日本文化がワカッテイルようだ」と思ってしまうという効果もあります。

ただし、この表現が「てみやげ渡し」場面で使われる唯一のものではないし、相手との関係などによって言い方はいろいろあるということも知らせなくてはいけないと思います。

こんなことを日本語教師が一人で説明することはできなくはありません。
でも、私は日本文化の専門家ではないし、日本文化というものを持ち続けている(海外生活で少し変わってしまっているかもしれませんが、、、)1億2千万人ぐらいの人の一人に過ぎないのです。
 
つまり私だけでは、全体がとらえられない危険性があるのです。
偏った見方をしているかもしれないし、私が「典型的」な日本人というわけではないからです。

(日本の外にいて、日本語を教えている時点で典型的じゃないと言えると思います。)

これが日本語教師が一人で舞台に立ちすべてを演じようとすることの限界です。

そこで、どうしたらいいか考えてみました。


一つは統計などの客観的なデータを示すこと。

どこかの研究者・研究所が出したデータを見せることができれば、私の小さいな視点よりは勉強になることが多くあるでしょう。

(「統計のうそ」というのに気をつけなくてはいけないと思いますが。。)

それを選んでくるのは教師である私なので、やはり取捨選択の時点で偏見が入っているかもしれませんが、それでも日本から時間・空間的に離れた私が少ない人生経験から語るよりは「まし」でしょう。

 もう一つは、日本文化の中にいるいろいろな人のナマの声を直接学習者に届くようにすることです。

生教材は、学習者にいい刺激となるし、学習者が積極的に自分でその日本語を分かろうとより熱心に学習するようになるし、教師以外の視点が入り、理解に厚みがでるからです。

教科書は、教える側が選んで加工したもので、教えるのには便利なようにできています。

でも、簡単にしすぎてしまっていることがあるかもしれません。

(実は、ある程度簡単にしないと、学習者は混乱するだけだとも言えます。)

特に文化的なことは、さまざまなバリエーションがあって、唯一の絶対的な「答え」があるわけではありません。

そこでブログです。

このオープンなメディアを使って、日本から産地直送の生の声を学習者に聞かせたいと思って、このブログを始めてみました。

アメリカの大学は、今はもう夏休みなのですが、9月から始まる新学期では、私が教える3年生の日本語の学生のためにこのブログが活用できればいいなぁと思っています。

また同時に、他の日本語を教える立場の人と意見を交換をしたいというのが今の希望です。

というわけでこれを読んでいる日本語話者の方(日本人でもそうでなくても)、ぜひコメントお願いします。


参考
清ルミ(2003)「つまらないものですが」考 ─実態調査と日本語教科書との比較から
神田外国語大学 異文化コミュニケーション研究所 Intercultural Communication Institute
異文化コミュニケーション研究 第15号 2003年 pp17-39

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